「ビジネス」という言葉は、良くも悪くも便利な言葉だと思いませんか?

「ビジネスなんだから」というフレーズは相手を黙らせる破壊力のあるフレーズです。

これは倫理に反するのではないか?理不尽なのではないか?と思っていても、「ビジネスだから」の一言で終了です。議論の余地がありません。

ビジネスという言葉は、仕事、事業、商売など、意味が広い言葉ですが、

「商売」を「ビジネス」に置き換えて使われるときが一番やっかいです。

「商売なんだから」=「ビジネスなんだから」

両者は同じ意味ですが、「商売」の場合は、まだ思考する余地がありますよね?

「商売」という言葉には、どこか後ろめたいニュアンスが含まれています。

これが、「ビジネス」になると、後ろめたさがかなり払拭されます。

ドライにすべきだ、迷っていること自体が甘い、という感じになります。

日本人がいつの間にか拝金主義になったのは、「商売」という言葉が廃れて「ビジネス」という言葉が普及したことがかなり影響しているように思われてなりません。

「ビジネスだから」というフレーズは、相手を説得する場合だけでなく、自分自身を納得させる場合にも多く使われているはずです。

商売には、程度の差はあっても、人を騙す要素が含まれていることが多いわけで、利益を得ることと後ろめたさはセットであるべきだと思うのです。

最もシンプルな商売として、安く買ったものを高く売るという方法がありますよね?

100円で買ったものを1000円で売るとか。

これを国をまたいで大規模に行うと貿易で、最も小規模だと、今なら”せどり”と呼ばれている手法でしょう。

「ニーズがあるから良い」ということでしょうが、騙しの要素は含まれていますよね。それにセコくないですか?

付加価値を付けて、その分を利益として売るならば良いですが、ただ商品を右から左に流して利益を取ろうとするわけですから。

人として卑しくないですか?

考え過ぎですかね…。

それが「ビジネス」なんでしょうか。

士農工商とは、よく言ったものです。