浅野史郎氏が、『ミヤネ屋』で高須クリニック問題について、
「事実を言っているのだから名誉毀損にあたらない。」と発言していました。
この発言に対して、高須院長が激怒して話題になっています。
感情論は置いておくとして、
そもそも、
「事実を言っているから名誉毀損にあたらない」というのは明らかに法律解釈を間違っています。
名誉毀損罪 (刑法第230条) は、事実であっても適用されます。
そもそも、
名誉毀損罪の構成要件が、
「公然と事実を摘示し、」となっており、
この「事実」は、”本当のこと” であっても適用されるのです。
これは、刑法を勉強した人であれば、極めて常識のことです。
素人感覚とはちょっと異なるところで、
はじめて知ったときは、
「へぇ~本当のことでも名誉毀損にあたるのか~」と驚きましたが、
法律の世界では常識です。
浅野氏はこんな基本的なことも知らないのでしょうか?
東大法学部から国一に受かって厚生省 (当時) に入っていますが、行政職か?
よほど、刑法を勉強しなかったと思われます。
そこらへんのオッサンと同じレベルの発言です。
おそらく、
刑法第230条の2と混同しているものと思われます。
これは、
「公共の利害に関する事実」に関するもので、「目的が専ら公益を図ること」の場合は、
真実であった場合は「罰しない」というものです。
まあ、政治家とか公人の場合ですね。
マスコミが、政治家等に対してはかなり強気に突っ込むのは、
報道メディアとしての使命感?の他に、
安心してバッシングできるという法律上の裏付けがあるからなのです。
浅野氏は公務員であったことから、事実であれば名誉毀損の行為をされても、相手は罰せられなかったわけです。
そういった自身の長年の環境に基づく感覚から、
法律を間違って覚えている (=知らない) のかなと思いました。
ちなみに、
国会議員には議院内での発言について「免責特権」がありますから(憲法51条)、
高須医院長の請求が裁判で認められることは厳しいと思います。
しかし、このことと、「事実を言うことが名誉棄損にあたるか否か」という
問題とは別次元の話です。
正直、浅野氏の発言には驚きました。
刑法各論を学んでいれば、大学1~2年生の学生でも知っていることですから。
仮に、刑法の答案に「事実を言っているから名誉棄損にあたらない」と書いた時点で
「コイツは全くわかっていない。」と教授に読んでもらえないレベルです。
イヤ、マジで。
こんなレベルの低い人を専門家コメンテーターとして出演させてはいけません。