日馬富士が「書類送検」されましたよね。
「送検」とは、簡単に言うと、警察から検察に送られるということです。
普通は身柄が拘束されているので、身柄と書類が送検されるわけです。
しかし、身柄が拘束されていない場合は、書類だけ検察に送られるわけです。
これを「書類送検」と呼んでいます。
ところで、
身柄を拘束するには「逮捕」をすることになります。
犯罪が発覚すると「逮捕」するのが普通と思われるでしょうが、
なぜ逮捕をするかと言えば、逃げたり、証拠を隠滅することを防ぐためです。
つまり、逃げたり、証拠を隠滅する恐れがなければ、逮捕する必要性がないのです。
「現行犯」であれば、その場で逮捕できるのですが (しかも、現行犯の場合は警察でなくても逮捕できます)、
「通常逮捕」であれば、「逮捕令状」が必要になります。
「逮捕令状」は、警察や検察が請求して、裁判官が出しますが、必要性がなければ出しません。
したがって、日馬富士のように、逃げる可能性もなく、証拠隠滅する恐れもない場合は、逮捕令状が出ません。
今回、警察が逮捕令状の請求をしたかどうかわかりませんが、請求しても裁判官に却下されるわけです。
覚醒剤の事件などは、証拠を隠滅する可能性が極めて高いため、有名人でも逮捕しますが (そもそも、現行犯逮捕なので逮捕令状も不要ですが) 、
有名人の事件で「書類送検」が多いのは、逃げる可能性と、証拠隠滅の可能性が少ないからです。
今回の場合、被疑者が国技である相撲の横綱ということで、一定の配慮があることは否めませんが、
そもそも、逮捕の必要性がないということが、逮捕されない理由です。