「派遣」という言葉、大雑把に使われ過ぎていないでしょうか?

オフィスに「事務」として派遣される女性と、「工場」に派遣される男性とでは、

その性質がかなり異ります。

しかし、この両者を明確に区別することなく、「派遣問題」が論じられているように思います。

この両者を区別することなく、ひとつの土俵で論じた場合、

論点がぼやけて、議論が錯綜してしまいます。

私には、女性の事務派遣職員で「派遣」という立場に不満をもっている割合は、

最近、世間で言われているよりは、ずっと少ないのではないかと思っています。

自ら、進んで「派遣」という働き方を選択している人達が、必ず一定の割合でいるからです。

そもそも、90年代頃は、「派遣」という働き方が、新しくてカッコいい、という風潮さえありました。

当時、「派遣職員」というものを普及させたかったリクルートや、企業側の意図的な宣伝があったことを差し引いても、

派遣職員である本人達も、それなりに満足していたと思えるのです。

最近では、「派遣」は可哀想とか、正社員になれなかった人達である、とみなされる風潮や、

非正規雇用をなくすべきだという社会的な取り組みなどにより、

なんとなく、世間的な認識として、実態以上に、派遣職員の社会的立場が弱まっている気がしてならないのです。

一方、

工場などの製造業の現場で働く派遣職員については、

正社員になりたい人がほとんどであると思われますが、

企業の都合によって、大胆な派遣切りが行われるなど、

本人達もかなり不満があると思われます。

これらについては、社会的に何らかの対策をとるべき必要性が高いでしょう。

したがって、

「派遣問題」を論じる場合、「派遣」というビッグワードで、一律に論じるべきではありません。

まず、そこから整理していかないと、無駄に議論を複雑化させることになります。