タレントのローラが所属事務所と揉めている件について、

8月20日、ローラの代理人弁護士が、所属事務所に対して、

契約破棄に向けた事前協議の申し入れを内容証明で送付したそうです。

Memories

ローラと所属事務所との間の契約内容

契約内容のポイントをまとめると以下のとおりです。

  • 契約期間は10年間
  • 契約解除(解約)の申し出がなければ自動更新
  • 契約解除(解約)するには事務所の承諾が必要

この契約は、タレントを長期間にわたり拘束するものであり、
事務所にとってかなり有利な内容となっています。

事務所が了承しなければ契約解除できないわけですから。

 

ローラ側(代理人弁護士)の法的な主張

当該契約はタレント本人を不当に拘束するものであって、
公序良俗に反するものであり、契約そのものが無効である。

という主張です。

民法に、公序良俗に反する契約は無効であるという条文があるのですが(第90条)、
この規定を根拠条文としています。

 

タレントと芸能事務所との契約の性質

私人間の契約は、契約自由の原則により、
強行規定に違反しない限りは、自由に締結することができます。

普通の「雇用契約」であれば、労働基準法等の強行規定がありますので、
通常の会社員であれば、今回のような契約は労働基準法に抵触するのでアウトです。

しかし、

タレントと芸能事務所との契約は、通常、「雇用契約」ではないんですよね。
典型的な契約類型から外れる、
業界の “慣習” に基づいたグレーな領域の特殊な契約です。

しかしながら、

ピッタリと雇用契約には当たらなくとも、雇用契約の色彩が強いことを考えると、
タレントを不当に拘束する内容の契約はアウトでしょうね。

 

代理人弁護士の方針を考えてみた

正面から法的に争えば、おそらくローラが勝訴するでしょう。

しかし、

裁判に勝っても、これまでの業界の慣習からすると、
事務所とトラブルを起こしたタレントを誰も使おうとはしません。

いわゆる “干された”  状態になるわけです。

それでは意味がないので、
協議(=話し合い)で円満に解決しようというものです。

なお、「事前協議」と言っていますが、
この「事前」とは、「裁判の前」ということです。

 

今回の内容証明の意味

「契約破棄に応じなければ裁判を起こしますよ。
裁判をすれば、あなた方は負けますよ。契約が無効ですから。
お互いに無駄なことをしないために、話し合いをしましょう。」

ということです。

 

今後の業界のあり方に大きな影響を与える

芸能事務所とタレントとのトラブルについては、
マスコミにとってタブーの領域であり、取り上げません。

将来の業界のあり方(タレントと芸能事務所との関係)を考えた場合、
裁判を起こして、和解ではなく、判決できっちり勝訴することが理想です。
それが「判例」となって、業界の慣習が徐々に変わっていく可能性があります。

マスコミはもっと取り上げるべき

タレント個人(ローラ)のことを考えた場合、
話し合いで解決できる方が良いでしょうね。

いずれにしても、マスコミはもっと取り上げるべきです。

なお、内容証明を送ったという事実及びその概要については、
「週刊文春」の記事を参照させてもらいました。

文春オンライン

 

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