社会心理学の本として世界的にロングセラーの『影響力の武器』を読んでみました。
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各種レビューの評価が良かったので、かなり期待していましたが、期待値が高過ぎたせいか、正直、イマイチという感想です。
第三版なので、改良はされているようですが、もともと30年前に書かれた本なので、内容が古く感じました。
人間の心理に与える影響を分析して、それを悪用する手口と防衛方がセットが書かれていますが、使い古された手法ばかりです。
つまり、目新しさが全くありません。逆に、普遍的な原理ということでもありますが。
確認という意味では有用かと思います。
また、書き方が平易なのはよいのですが、対象とする読者層の知的レベルもかなり低く見積もっているように思えます。
文章もダラダラとしており、途中でイライラする箇所もあります。
分量が400ページ以上ありますが、カットできる部分は多々あり、もっとコンパクトにすべきとも思いました。
この本は、30年前のアメリカの大衆向けの本ですね。
アメリカはエリート層は抜群に優秀ですが、大衆のレベルは低いですからね。
この当時、アメリカで使われていた心理的テクニック、販売テクニックは、その後、日本でもよく使われており、現在でも多くが残っています。
凡庸な人々に対するテクニックとしては現在でも有効でしょう。
しかし、内容が古くさくて、想定読者層が低いからといって、全く無駄というわけではありません。
※この著者が言う、「一貫性の理論」の影響でしょうか。つまり、高いお金を出して本を買って、時間をかけて読んだので、それが無駄だったとは思いたくないという心理です。
続編も買ってしまったので、そちらに期待したいと思います。