この本は買って損はないです。

ミレニアル起業家の 新モノづくり論 (光文社新書)

仲暁子さんって、名前は時々目にしますが、何をやっている人なのかよく知りませんでした。

まず経歴が立派ですね。

京大経済学部からゴールドマン・サックス、フェイスブックを経て独立。

現在、就職転職関連のSNS「ウォンテッドリー」のCEOです。

両親が大学教授ということもかなり影響していると思いますが、ものの見方、分析が鋭くてユニークです。

それと、この手の本にありがちな自己の体験のみに引っ張られることなく、客観的な視点からものを見ています。

一言でいって、頭がいいという印象を強く受けます。キレがあります。

なので、読んでいて退屈しません。

こういうタイプの本は、

世間知らずの学者が書いた現実離れしたものか、狭い自己の体験談かどちらかに偏りがちです。

しかし、仲暁子さんの場合は、

社員としての経験、起業家としての経験という実践的なビジネス的視点と、学者的な分析力と表現力という、両者を兼ね備えています。

なかなかこういう人はいません。

この本は、ちょっとタイトルで損をしているような気がします。それは、編集者の責任ですが。

内容としては、

ミレニアル世代という言葉を耳にしますが、ボヤッーとした印象しかなかったものが、イメージとして掴めるようになります。

ここ何年かの消費動向の変化については、ミレニアル世代の考え方を理解することが重要であることを説いています。

そして、この本を読むことでミレニアル世代の考え方が感覚的にわかるようになります。

すでに消費動向に大きな影響を与えているミレニアル世代ですが、

今後、彼らが社会の中心になってくることを考えれば、思考様式を理解しておくことは必須と思われます。

これは、”さとり世代” などのこれまでの切り口で片付けられる次元ではありません。

これからの時代に適応しているのは、明らかに彼らの方です。

産業構造が大きく変化している時代において、従来型の下の世代を評価する視点では片付けられないものがあります。

この本は、

自分達の感覚と時代遅れの社会構造のギャップに悩む20~30代のミレニアル世代にも役に立ちますが、

今の時代とこれからの社会の変化をもっと感覚的かつ論理的に捉えたい人にとって有益であるといえます。

オススメです。