以前、僕は新築マンションを購入して数年間住んでいました(その後、売却しています)。
何年目かに、運悪く、マンション管理組合の理事に当たってしまいました。

そのマンションは、デザイナーズ系というか、オシャレな感じだったためか、
住人の中には、やたらと”意識高い系” の人がチラホラといました。

個性的すぎるAさん登場

Aさんは、”意識高い系” の人の中でも最強の人で、
理事でもないのに、理事会に参加するような方でした。

Aさん宅は上層階にあり、そのため強風の影響をモロに受けているようでした。

そのため、理事会にやって来ては、
「防風板を設置すべきだ」という主張を盛んにしていました。

共用部分に防風板のような設備を設置するには、
マンション管理組合の総会での決議を経なければなりません。

そして、

設置の費用は、普通、管理組合の管理費から支出することになります。

したがって、

強風の影響を受けている上層階の人々と、
下層階の人々との間で
意見が割れることは明らかでした。

さらに、

そのマンションでは、やたらと ”美観” を重視する住人が多かったので、
Aさんの意見は、客観的に見て、極めて通りにくい状況にありました。

 

暴走するAさん

Aさんは自己の主張を裏付けるため、
廊下に勝手に風速計を設置して(規約違反です!)、
風速データを取り始めました! 

そして、

そのデータを詳細なグラフに起こし、
マニアックな資料を作成して、
理事会で延々とプレゼンを始めました。

理事会メンバー全員がドン引きしたことは、言うまでもありません。

「どうも方向性がズレているなぁ。」と思った僕は、
「そもそも、私は防風板の設置には反対なんですけどね。」
と前置きをした後、

「Aさん、気持ちは分かるけど、
そんなマニアックな方法で延々と説明したら、皆さん引いちゃって、
総会の場でますます承認されにくくなりますよ。

現に、この場にいる理事会メンバーもみんな引いちゃってますよ。
もしやるなら、データの部分は資料だけ出すとか、
サラッと見せるだけにした方がいいですよ。

あと、そもそも、風速計を勝手に設置するのは規約違反ですよ。

と、Aさんの暴走を止めにかかりました。

もちろん、

この件は理事会で承認されなかったので、
総会の議題に上がることもありませんでした。

 

Aさん、理事長になる

Aさんは、次期理事会の理事に当たっており、
自ら理事長に立候補して、念願の理事長になったのでした。

Aさんは、理事会の引継ぎの時にも、
「前の理事の方々にも協力してほしいので、次期の理事会にも参加してほしい」
など、また面倒なことを言い出しましたが、

われわれ常識人は、丁重にお断りしました。

 

晴れて理事長となったAさん。

ひと月に2度も理事会を開催し、アレやコレやと色々提案するなど、
Aさんの完全独裁体制が敷かれたわけです。

しかし、

初めはしぶしぶ従っていた理事会メンバーも、
次第についていけなくなったようで、

結局、

ほとんど成果は上げられませんでした。

そしてAさんは・・・

あれだけマンション管理に情熱を燃やしていたAさんですが…、

翌年、マンションを売却して去っていきました。。

Aさんの心中やいかに。

それにしても、色んな意味でインパクトがあり、
考えさせられる方でした。